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B_トラブル相談所|中古住宅で雨漏りが発覚したときの責任と対処法【Q&A形式】

furuhiro

中古住宅で雨漏りが見つかったら?責任の所在と対応方法

中古住宅を購入して間もないのに雨漏りが発覚すると、「誰の責任なのか?」「売主に修理してもらえるのか?」と不安になる方も多いでしょう。新築住宅とは異なり、保証や保険の適用範囲が複雑になるため、冷静な対応が必要です。
本記事では、現行法に基づき「契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)」の用語で説明します。

まず確認すべきは「売買契約書」

中古住宅でトラブルが発生した際の基準は、基本的に売買契約書の内容にあります。
  • 契約書に「契約不適合責任を負う」と明記されているか
  • 契約不適合責任の期間(例:引渡しから3ヶ月以内など)
  • 責任の範囲(雨漏りなど重要な欠陥に限定されているか)
  • 「現状有姿(げんじょうゆうし)」と明記されているか

【Q】現状有姿(げんじょうゆうし)とは?

お客様
お客様

【A】中古住宅の売買契約書では「現状有姿での引渡し」が一般的に使われています。契約書に「現状有姿」と記載されていても、それだけで売主の責任が自動的に免除されるわけではありません。現状有姿は「現状のまま引き渡す」という意味であり、契約不適合責任の免責には、別途明確な特約が必要です。さらに、売主が故意や重過失で不具合を告げなかった場合には、免責特約があっても責任を免れることはできません。

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瑕疵(かし)とは?雨漏りは対象になる?

瑕疵とは「通常備わっているべき性能や品質が欠けている状態」です。雨漏りは住宅の基本的性能を損なう重大な欠陥として、一般に“隠れた瑕疵(現行法では契約不適合)”に該当する可能性があります。ただし、「買主が引渡し前に気付けなかったこと」が前提条件です。

【Q】買主が引渡し前に気付けなかった瑕疵とは?

お客様
お客様

【A】隠れた瑕疵の判断基準は、買主が通常の注意をもっても発見できなかったかどうかにあります。たとえば、見えない箇所(天井裏や床下)に発生していたカビや雨染みなどは、引渡し前に気付けないこともあります。また、売主自身も気付いていなかった場合、個人間の売買では売主に責任が問われないケースもあります。

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中古住宅の契約不適合責任は限定的

新築住宅とは異なり、中古住宅の場合は売主に広範な保証義務はありません。
誰が売主だったかによって、対応の可否が大きく変わります。
  • 一般個人が売主
    • 民法に基づく最低限の責任(特約により免責も可能)
  • 不動産会社(宅建業者)が売主
    • 売主が宅建業者の場合、宅建業法の規定により「買主に不利な免責特約」は無効となります。特約で認められるのは「通知期間を引渡しから2年以上とする」ことだけです。つまり、民法より短縮することはできず、最低でも『引渡しから2年以上の通知期間』を確保できます。

【Q】「不動産会社が仲介」の場合はどうなる?

お客様
お客様

【A】中古住宅売買では、「一般個人が売主」となり「不動産会社が仲介」に入る形が多く見られます。この場合、売主は宅建業者ではないため、民法上の最低限の責任のみが適用され、契約書に「契約不適合責任を負わない」と明記されていれば、責任追及は非常に難しくなります。

HIRO
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対応方法と修理費の考え方

  1. まずは契約書を確認し、責任の有無を判断
  2. 責任の有と判断した場合、売主に連絡し、対応を依頼
    (写真・証拠を添える)
  3. 売主が対応しない場合、自費修理+内容証明などの法的措置も検討
また、火災保険に加入している場合は、自然災害由来の雨漏りであれば補償対象になる可能性もあります。ただし、経年劣化や施工不良による雨漏りは対象外です。

【Q】施工会社が特定できる場合、瑕疵担保責任保険は使えますか?

お客様
お客様

【A】施工会社が特定できる場合、当該住宅が新築時に瑕疵担保責任保険に加入していた可能性もあります。ただしこの保険は原則として、新築時の施主(当時の所有者)を対象とするもので、所有者が変更されている場合(=中古住宅を購入した場合)は適用外となることがほとんどです。
例外として、
既存住宅売買瑕疵保険」など、検査を経て再度加入できる制度もあります。中古購入時は、保険の有無や再加入の可否を確認しておくと安心です。

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購入前のインスペクションの重要性

今後中古住宅を購入する予定の方は、必ず建物診断(ホームインスペクション)を行いましょう。雨漏りや構造劣化などの兆候があるかを事前に把握し、売主と責任分担について協議することが大切です。

【Q】売主と責任を分担するケースとは?

お客様
お客様

【A】たとえば、購入前にホームインスペクションを実施し、外壁のひび割れによる雨漏りリスクが指摘された場合、買主がリスクを承知のうえで購入すれば、その後の不具合について売主は責任を免れることがあります。また、売主が一部補修や値引きで対応する場合もあり、これが『責任分担』にあたります。

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【Q】ホームインスペクションは雨漏り発見に有効か?

お客様
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【A】ホームインスペクションでは、目視や計測器を使って、雨漏りの兆候があるかどうかを確認します。天井の染み、壁紙の膨れ、カビ臭などがあれば発見しやすいですが、目に見えない場所や仕上げ材の下の劣化などは見逃される可能性もあります。そのため、雨漏りの『リスクの兆候』を知るには有効ですが、必ずしも『すべての雨漏りを見つける』検査ではありません。

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まとめ

中古住宅の雨漏りトラブルは、契約内容と売主の立場によって対応が異なります。
まずは売買契約書を確認し、冷静に対応することが最優先です。トラブル防止のためにも、購入前のインスペクションと契約時の確認は欠かせません。
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